PerkinElmer Informatics は Revvity Signals Software に生まれ変わりました。

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一元化・追跡・強化:臨床試験に役立つ優れたクリニカルデータレビューの実現に向けて

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臨床試験では、絶え間なく生じる変化に速やかに適応できる分析ツールが必要不可欠です。

適応型の分析は、新薬を開発する上で重要です。分散型臨床試験や新しい試験デザインにより、臨床試験で使用するデータソースの種類が急速に増加しています。これらのデータを入念に収集・分析し、医薬品規制調和国際会議(ICH)のE6(R2)や改訂間近のICH E6(R3)などの、増え続ける医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)に関するガイドラインを順守する必要があります。

これらの変化に後れを取らないようにするため、医薬品の開発者は臨床試験データを管理し、最適な洞察を抽出できる堅牢な計算処理・分析ツールを求めています。安全性/運用/データ上の問題の特定のために分析を用いること以上に不可欠なのが、臨床開発チーム間の協力関係です。そのため、分析ツールにコラボレーション機能が組み込まれていることが望まれます。

クリニカルデータの複雑性の管理

バイオ医薬品の著しい進歩に伴い、分散型の試験デザインなどの新しい試験デザインで収集されるデータは複雑化の一途をたどっています。 データは、今や臨床試験のエンドポイントに限定されるものではなく、トランスレーショナルリサーチなどのプロセスの情報源として用いられています。 効率的なクリニカルデータ分析プラットフォームでは、あらゆる関連データを以下のように活用できます。

  • オートリフレッシュ機能を備えたデータソースへの接続性
  • クリニカルデータの集約化・標準化
  • データを取り巻く効果的なコラボレーション
  • 最適なツール・レポート・メトリクスによる結果の強化

以上の4つの要素を導入すれば、臨床試験データの管理を改善でき、利用可能なデータを増やせます。データソースの環境が進化し、1秒間に何千ものデータポイントを収集できるようになると、安全性と有効性を確保するために広範かつ膨大な情報をまとめることが難しくなります。そのため、データ収集のみにとらわれず、eDC・ePRO・eCOA・ウェアラブルデバイス・IXRS・CTMS・中央検査機関などのデータ収集源から得られる、幅広く、奥深く、質の高いデータに柔軟に対処できる分析ツールを持つことが極めて重要なのです。

これは、臨床試験の新しいモデルへの移行という、根本的な転換であることを示しています。さらに、データを活用して洞察を得た上で、人的組織的なパフォーマンスを向上させるインフォマティクスの重要性も明らかにしています。つまり、データは皆様が有効に活用するべきものであり、その逆ではありません。

先日、SCDM(Society for Clinical Data Management)は各企業に対して、現在、臨床試験で管理しているデータソース数と、この先3年にわたり管理することが予測されるデータソース数について尋ねました。
図1に示すとおり、臨床試験のデータソース数は増え続けています。

1. 臨床試験におけるデータソースの比較:2020年と2017年

図2 対応しているのは1種類の試験のみと回答したのは極めて少数。

さらに、図2の赤い楕円で示しているように、この分析のために問い合わせた人の中には、1種類の試験しか行っていない方が少なからずおられました。回答者が、観察試験と対照実験に取り組んでいることを示しています。 観察試験では、前向き試験で電子的に収集した実臨床データとは異なる既存のデータを使用します。例えば、実臨床データは、新規の目的や二次的な目的で使用されます。そのため、データの質を評価する以外に、実臨床データをコントロールする余地はありませんが、前向きに収集されたデータは多少のコントロールが可能です。

これら2つの情報の基本的な用途の他に、バイオ医薬品業界は、特に全体的なパフォーマンスと治療薬の開発の向上のためにデータを活用することが、これまで以上に望まれています。その1つとして、自然界をより一層リアルにデータに描き出すことが期待されています。そのためには、データの操作・品質・不確実性などの、処理中に追跡できる豊富なデータセットが必要です。現在のインフォメーションテクノロジーは、「接続性」「自動化」「意思決定支援」「データからの新たな洞察の獲得」という4つの基本的な観点から、企業がこれらのデータに対する期待に応えられるよう支援しています。
バイオ医薬業界は、これらのツールを将来の試験全体に使用することを期待していますが、そうなるまでにはある程度時間がかかるでしょう。このウェブキャストの参加者を対象にした調査で
  「臨床データ管理に関する最も差し迫った課題の中で、ソフトウェアソリューションが最善の支援になると考えている」として、最も多かった回答は、  

「データ自動化と、適切なデータをタイムリーに入手できる適時性」

でした。さらに、接続性やビジュアライゼーションなどの課題についても多くの回答がありました。これらの回答は、データソース・データの取得速度・データ量の増大に加えて、可能な限り迅速かつ効果的に使用できるよう情報を統合することへの期待によるものと思われます。

ソフトウェアファミリーの構築

PerkinElmer Informaticsは、電子実験ノート(ELN)ソリューションからスタートし、TIBCO® Spotfire®との提携により開発された一連の科学系ソフトウェアを展開しています。これらのソフトウェアソリューションでは様々なアプリケーションをカバーしていますが、図3に示すように、それらはすべて「科学をより洗練されたものに」という1つの基本的な目標に注力しています。

図3. より洗練された科学

PerkinElmer Informaticsの各ソリューションは、基礎研究から市販後のニーズまで、またその間にあるあらゆるステップに適用できます。加えて、これらのツールは、すべての段階の情報を結びつけます。この接続性により、データコミュニケーションが促進され、組織のパフォーマンスを最適化し、より優れた治療薬を生み出すことができるようになります。このデータコミュニケーションは、企業の部署間や部署内で行われるものですが、世界中の研究データやクリニカルデータを扱うパートナーにも広げなければなりません。

PerkinElmer Informaticsは、パートナーとの協力の中で、バイオ医薬業界企業の多くが、一元化した分析やコミュニケーションが不足していることに気づきました。

臨床試験の分析とコミュニケーションが両立していることが、最高のシナリオです。しかし、臨床試験の多様化が進み、様々な期間にわたり実施されるようになると、多種多様なデータを複合的に収集し、最終的に理解することが難しくなってきます。また、これらの情報は、社内全体から容易にアクセスできなければなりません。このようなニーズは、組織のコミュニケーション能力への大きな負担となります。

今日、多くの企業は、様々なデータの問題に直面しています。適切な人が適切なデータにアクセスして適切な洞察を得る、といった単純なことでさえ困難な場合があります。その次の段階として、企業は、可能な限り早くデータにアクセスすること、特定のメトリクスにデータを照会したり、データの傾向を特定する性能を求めています。
基本的なレベルでは、組織は重要な質問に回答できる方法を必要としています。一例として、 図4に、企業の臨床開発業務のあらゆる部分で重要な質問が生じていることを示します。最新データの検索からGCPガイドラインの遵守まで、一元化された分析と協力関係がなければ、どうしてもボトルネックが生じます。

図4. 臨床試験のパートナーからのよくある質問

多くのバイオ医薬品企業は、4つのデータに関する課題に直面しています。1つ目は、企業は適切なデータを適切なタイミングで必要としますが、これは直接的な接続性と自動化に依存します。2つ目は、適切なデータを適切に配信して、すべてのチームメンバーがデータを入手できるようにすることです。これには、データの集約とデータセット全体の関係性を明らかにする機能が必要です。3つ目は、臨床試験の進歩に伴い、企業は新しいデータを扱い、新しい方法で分析する必要がありますが、柔軟性のないツールではこの分析ができません。反対に、モジュール式で適応力の高いツールは、環境の変化・新しい種類のデータ・プロトコルの変更に対応できます。最後の4つ目の課題は、企業が統合されたコラボレーションでデータのレビューを確実に行うことです。それにより初めてデータをコントロールしているという確信を持てます。その確信があれば、データ監査やデータに基づく意思決定を簡略化できます。

統合ソフトウェアソリューション

PerkinElmer Informaticsでは、様々な懸案を解決するための一連のモジュールを提供しています。図5は、固形腫瘍分野の治験薬について示していますが、あらゆる治療領域に適用できます。まず、Clinical Data Reviewモジュールでは、安全性・有効性を解析する標準的な方法をご用意しています。Clinical Operationsモジュールは、データ主導型の洞察に基づき、施設のパフォーマンスの最適化と、患者様の安全性の向上を、同時に実現します。Risk-Based Monitoringは、タイムリーな情報と実用的な洞察により、最適な試験の立ち上げ・予算・マイルストーン追跡を可能にします。
一元化されたコミュニケーションの有用性は、Signals Line Listing Reviewモジュールに現れています。このモジュールでは、データ管理の照会や、より詳細な解析のためにレビュー/タグ付けされた情報を管理できます。つまり、データのステータスの追跡とコラボレーションを可能にします。PerkinElmer Informaticsのラインリスティング レビュー機能は、TIBCO Spotfireに直接内蔵されているため、外部のトラッキングツールを利用する必要がありません。治療関連のモジュールを追加し、解析パッケージの最適化もできます(腫瘍領域のRECISTビジュアルなど)。このソフトウェアは、クロスプラットフォーム接続により様々なベンダー製品との接続が可能です。

 

図5. 重要な固形腫瘍領域の治験薬にデータ・メディカルレビュー・業務の監視を必要とするクライアントの使用事例。

複数の機能を組み合わせることで、臨床試験において、集団レベルから被験者個人/グループレベルまで対象を掘り下げることができるようになります。その情報に基づいて、レビューが必要なものやその他の必要な措置を明らかにできます。

これらは、多くの企業にとって有益な機能となるでしょう。実際、PerkinElmerが主催した最近のApplied Clinical Trialのウェブキャストの参加者は、臨床データの照会における喫緊の課題として、電子データ収集とデータレビューが技術的に統合されていないこと、データレビューと照会状況を効率的に追跡できないことを挙げています。特に電子データ収集では、多くのシステムが自動化と接続性のニーズで後れを取っていることを考えると、これは驚くべきことではありません。したがって、これらのツールを改善することで、レビュープロセスの向上に役立つと考えられます。

 

結論

バイオ医薬品業界では、臨床試験に継続的に変更が生じるため、得られたデータにも変更が発生します。新しい種類のデータはより複雑さを増すと考えられ、データ量も増大することが確実なため、バイオ医薬品企業では、データ分析から全般的な業績・製品品質に至る課題を克服できるソフトウェアへのニーズが高まっています。バイオ医薬品企業は、分析とコミュニケーションを一元化することで、接続性・自動化・集約された有用データ・柔軟な分析・コラボレーションによるデータレビューの方法をベースにシステムを構築しています。今日のバイオ医薬品業界において、このような機能の集約は極めて重要であり、今後さらに重要になると考えられます。

 

Meredith Nahm Zozus, PhD, CCDM
メレディス ナーム ゾーズス(Meredith Nahm Zozus, PhD)博士、CCDM

クリニカルリサーチ インフォマティクス プロフェッサー兼ディレクター

Joe R. and Teresa Lozano Long School of Medicine
University of Texas Health Science Center

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ブレント マイヤーズ(Brent Meyers)、MBA

バイスプレジデント、クリニカルアナリティクス

PerkinElmer Informatics